①手で肝臓を見極める
お腹を触って、何がわかるの?
初診時の触診は、医師によってそれぞれ目的が異なりますが、当院では、肝臓専門医として、主に肝臓の腫れ具合 や 硬さを診ています。
患者様には、診察台の上で仰向けに寝てもらい、両膝を曲げて頂きます。そうすることでお腹に力が入らなくなり、お腹の筋肉に邪魔されることなく、肝臓に触れるようになります。
右の肋骨の下に顔を出している肝臓を指先で触ります。すると、次のような情報が得られます。
- お肉屋さんで売っているレバーのようにプリプリと張りがある→正常?
- フォアグラのようにプヨプヨと柔らかい→脂肪肝?
- 通常より肝臓が大きく肥大化している→脂肪肝?
- 加熱されたレバーのように弾力がなく硬い→肝硬変?
- やや腫れて少し硬い→慢性肝炎?
正確な診断をするには、採血やエコーをする必要がありますが、触診によって、ある程度病状を把握することができます。そして、その結果によって、検査内容(採血の項目など)を決めています。
②肝臓癌は小さく見つけたい
2023年腹部エコー2314件/年
B型肝炎で治療中の方やC型肝炎の治療後の方など、通常より肝臓がんリスクの高い方がおられます。当院では、そういう方に3ヶ月に1回のエコー検査をお勧めしています。この間隔でエコーをしていれば、たとえ肝臓がんが見つかったとしても、2㎝以下で見つかる可能性が高いからです。2㎝以下で見つかれば、手術で切除することも十分可能です。
そのため、少しでも鮮明な画像で観察できるように、エコー機器は、病院並みの上位機種を使用しています。また、エコーをする時には、肝臓の繊維化を測定するエラストグラフィーも使用しています。
③少しでも膵臓が診たい
座ってエコーをするのはなぜ?
すい臓がんは早期発見が非常に難しい病気です。「すい臓が胃の裏にあり、見えにくい」ということが大きな原因です。そのため、MRIやCTでも早期発見は難しく、「すい臓がんは進行して見つかるもの」というのが定説です。
(すい臓がんリスクの高い方)
・家族歴のある方
・糖尿病の方
・50歳以上の方
当院では、エコーをする時、すい臓が少しでもよく見えないかと、次のような工夫を始めました。
(1)座位でする
座った状態でエコーをすると、胃腸のガスが移動し、ほんの僅かですが、すい臓が映りやすくなります。
(2)脱気水を飲む
水を飲むと胃に水が溜まり、溜まった部分では、背後のすい臓が少しだけ鮮明に映るようになります。