肝臓病と肥満専門のクリニック

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B型肝炎の治療

B型肝炎にて当院受診中361(2024.1.4現在)

B型肝炎とは?

B型肝炎ウイルスに感染することで、肝臓に炎症(肝炎)を起こす病気です。国内では約130万~150万人が感染していると言われています。肝炎が続くと、慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんへと進展する可能性があります。

どうやって感染するの?

B型肝炎ウイルスに感染している血液体液が体の中に入ることで感染します。一般的に子どもへの感染は、感染した母親から生まれた際が多いです。しかし、過去には保育園で集団感染が起きたこともあり、最近では、父親など家族内からの感染も報告されています。一方、大人への感染は、パートナーとの性交渉の際に起こることが多いです。

急性肝炎と慢性肝炎(キャリア)

B型肝炎には、急性肝炎慢性肝炎があります。

急性肝炎は、成人期に性交渉などにより、B型肝炎ウイルスに感染し発病します。多くの人は肝炎の症状を起こさずします。(既往感染者)しかし、一部の人は劇症肝炎になり重症化します。

慢性肝炎(キャリア)は、小児期に母親などから感染し、B型肝炎ウイルスを保有しています。(持続感染者)多くの場合、成人期にウイルス量が減少し、肝炎が安定した状態になります。しかし、一部の人は慢性肝炎・肝硬変・肝臓がんへと進行します。また、時に安定したキャリアの方から、肝臓がんができることもあります。そのため、病気の状態を把握し、経過観察することが非常に大切です。

ウイルスの遺伝子型をご存知ですか?

人のB型肝炎ウイルスの遺伝子型はAからGまで7種類あります。そのうち日本にあるのは、主にB型・C型、まれにA型です。自分のウイルスの遺伝子型を知ることは大切です。なぜなら、遺伝子型によって、肝臓病の進行速度が異なるからです。そのため、将来どのような経過をたどるのか予想するのに役立ちます。

A型
・欧米に多い
・B型急性肝炎の原因として増加中
・慢性化する率が高い
B型
・インドネシア
・台湾に多い
C型
・東南アジア全般に多い
・日本で一番多い遺伝子型
母子感染が多い
・肝臓がんなど重い肝臓病を起こしやすい

ウイルス量を測定していますか?

抗ウイルス薬服用基準
ALT(GTP) : 31以上
ウイルス量  : 3.3 以上

近年、B型慢性肝炎の診断・治療は急速に変化しています。B型肝炎のウイルス量が正確に測定できるようになり、治療の方針もたてやすくなりました。B型肝炎のウイルス量が少ない人(2以下)は比較的安全ですし、ウイルス量が多い人(3.3以上)は肝硬変・肝臓がんへと進行する可能性が高いです。自分のウイルス量を把握しておきましょう。最近では、ウイルスを抑制する薬で、肝硬変・肝臓がんへと移行するのを防げるようになりました。

ウイルス量が少なくても定期検査が必要ですか?

必要です。キャリアの多くの方は、ウイルス量が少なく、肝機能数値も安定しています。そのため経過観察で、3か月(または6か月)に1回、採血とエコーをするだけの方がほとんどです。定期的に検査をすることで、肝機能数値が悪化しても迅速に対応でき、肝硬変・肝臓がんへと進行するのを抑制できます。

定期検査では何をするのですか?

定期的にウイルス量や肝機能数値を測定することで、病気の進行を時系列で把握することができます。また、肝臓がんは治療をしている人の中から見つかることが多いため、エコーと採血で早期発見が可能です。エコーの間隔が3か月に1回であれば、2㎝以下で見つかる可能性が高いです。

抗ウイルス薬のメリット・デメリット

ウイルス量が多い方や肝機能数値が高い方に、抗ウイルス薬を処方します。将来、肝硬変・肝臓がんになる確率を少しでも低くするためです。

メリット
ウイルス量が減る
肝機能数値が改善する
※その結果、将来肝臓がんになる確率が低くなる
デメリット
中止が困難
耐性株ができることがある
※耐性株ができると、使用中の薬は効かなくなりますが、別の薬を追加することで、再びウイルス量を下げることができます。

抗ウイルス薬以外の治療は?

抗ウイルス薬の適応がなかったり、希望されなかった方には、ウルソ(肝臓の炎症を抑制し、胆汁の流れを改善する薬)を処方しています。基本的に抗ウイルス薬以外でウイルスを減少させることはできませんが、肝機能数値を安定させることは可能です。肝機能数値を安定させることで、肝硬変・肝臓がんへと進行するのを遅らせます。

B型肝炎Q&A

B型肝炎の方がリウマチの治療をする場合、ウイルスが活性化 し、肝炎が悪化することがあります。そのため、抗リウマチ薬を使用する時は、肝臓専門医とリウマチ専門医が連携して治療することが多いです。抗ウイルス薬を併用し、肝炎を安定させながら抗リウマチ薬を使用します。

(こんな方も注意が必要です)
①ウイルス量が減少し、肝炎が安定している慢性肝炎(キャリア)の方
②急性肝炎が治った方やウイルスの感染に気付くことなく治癒した既往感染者

抗ウイルス薬は、基本的に妊娠中の安全は保障されていません。そのため、妊娠・出産後に使用する方が安全です。

広島県では、B型肝炎を核酸アナログ製剤(バラクルードやテノゼット)で治療する方に、入院・通院の医療費を助成しております。

世帯の市町民税年額の合計 自己負担限度額
235,000円未満の場合 1万円
235,000円以上の場合 2万円

「肝炎治療費助成制度」の詳細につきましては、広島県のホームページをご覧下さい。